AI × 手描きで”自分の画風を増やす”実験 —— 画風変換チャレンジの全記録

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AI画風変換イメージ

なぜ今、「画風変換」に挑戦するのか

こんにちは、bakです!

自分の絵柄に限界を感じたことはありませんか?同じタッチ、同じ表現方法、同じ色使い。描けば描くほど、自分のパターンに閉じ込められていく感覚——クリエイターなら誰もが一度は経験する壁です。

2025年現在、AI技術の進歩により、デザイナーやコンテンツクリエイターがアイデアを創造し視覚化する方法が一変しました。特に画像生成AIの分野では、何が本物で何がAI生成なのか、もはや見分けがつかなくなってきており、AI画像生成ツールはそれほど優れた品質に達しています。

しかし、多くのクリエイターが抱える疑問があります。「AIを使うことは、自分らしさを失うことではないか?」「手描きの価値はどこにあるのか?」

この記事では、AIと手描きを組み合わせることで、自分の画風を「増やす」という実験について、その全プロセスと得られた気づきを共有します。


実験のコンセプト:AIと手描きをどう組み合わせるか

基本的な考え方

この実験の核心は、AIを「模倣するもの」ではなく「インスピレーション源」として扱うことにあります。

ワークフローの全体像:

  1. AI生成 → 自分のイラストを別の画風で生成
  2. 分析 → AIが表現した要素を観察・分解
  3. 手描きリファイン → 自分の感性でブラッシュアップ
  4. 統合 → 元の画風とAI由来の要素をミックス
ワークフロー図

重要な前提

AIが作品制作の中心的な役割を果たすようになると、クリエイターはAIの指示に従うだけの存在となってしまうのではないかという懸念があります。しかし、この実験では人間の創造性を中心に置き、AIはあくまでツールとして活用します。

目標は明確です:

  • AI生成物をそのまま使わない
  • 自分の「核」となる絵柄は保持する
  • 新しい表現の引き出しを増やす

使用したツール/環境と前提条件

AI画像生成ツール

2025年現在、選択肢は豊富です。今回の実験では以下を使用しました:

主要ツール:

  • Adobe Firefly – コンセプトを視覚的に実現する高品質なイメージ作成に適している
  • ChatGPT (DALL-E 3) – 日本語プロンプトに強く、対話形式で調整可能
  • Midjourney – 芸術的なクオリティが高い
ツール比較

手描き環境

デジタルツール:

  • iPad Pro + Apple Pencil – 直感的な描画体験
  • Clip Studio Paint – ブラシカスタマイズに優れる
  • Adobe Photoshop – 生成AIを活用したさまざまな描画タッチで、画風を変える機能が充実

プロンプト設計の基本方針

2025年3月のChatGPTアップデートで画像生成機能が爆進化し、シード値活用で連続イラストも自在に、日本語だけで多彩なスタイルを指示できるようになりました。

効果的なプロンプトの要素:

  • 画風の具体的な指定(水彩、油絵、アニメ調など)
  • 色味・トーンの方向性
  • 線の特徴(太い、繊細、荒々しいなど)
  • 参考にしたいアーティストやスタイル

実際のプロセス:生成からリファインまでのワークフロー

ステップ1:AI生成で別の画風を探索

まず、自分の既存イラストをベースに、AIに異なる画風での再解釈を依頼します。

プロンプト例:

「可愛い女の子のイラストを、温かみのある水彩画風に。
柔らかな色のにじみと、ふんわりした線。
パステル調の配色で、手描き感を残して」

画像を作るAIには「シード値」というものがあり、同じ数字を使えば同じ画像をまた作ることができます。しかし、シード値は全く同じ画像を生成するのに適しており、特徴を保ったまま別の画像を生成したい時には不向きであることが判明しました。

ステップ2:生成結果の分析

AIが出力した画像から、以下の要素を観察します:

チェックポイント:

  • 色使い – どんなカラーパレットが使われているか
  • 線の処理 – エッジの柔らかさ、線の強弱
  • 陰影の付け方 – グラデーション、境界線の扱い
  • 質感 – マット、光沢、粗さなど

ステップ3:手描きリファインで「自分らしさ」を注入

ここが最も重要なプロセスです。AIの出力を参考にしながら、自分の手で描き直します

意識したポイント:

  1. 線のクセを残す
    • 自分特有の線の引き方は変えない
    • AIの柔らかさを取り入れつつ、メリハリは保持
  2. 塗りのタッチを調整
    • AIが提案した色味を採用
    • ただし、筆圧や重ね方は自分流に
  3. 構図・バランスの再調整
    • AIは時に不自然な構図を作る
    • 人間の目で違和感を修正
手描きプロセス

画風ミックスの試行例:成功例と失敗例

成功パターン1:「可愛い系 × 厚塗り」

試行内容: 自分の萌えイラストに、油絵のような厚塗りテクスチャを融合

成功の理由:

  • 元の可愛らしさは目の描き方で保持
  • 厚塗りの質感が立体感を生み、深みが増した
  • 柔らかな色彩のグラデーションや透け感が特徴のスタイルで優しい印象に

実例: Photoshop生成AIによる画風変換事例

成功パターン2:「アニメ調 × 水彩画」

試行内容: クリアな線画のアニメ絵に、水彩の滲みや透明感を追加

成功の理由:

  • 線画の明瞭さはそのまま
  • 水彩の柔らかさが情緒的な雰囲気を醸成
  • 色の重なりが予想外の深みを生んだ

失敗パターン1:「リアル系 × デフォルメ」

試行内容: 写実的な人物画に、デフォルメ要素を混ぜる

失敗の理由:

  • リアルとデフォルメの境界が曖昧に
  • 不気味の谷に陥った
  • 方向性が定まらず中途半端な結果に

学び: 画風の「距離」が遠すぎるミックスは避けるべき。段階的なアプローチが必要。

失敗パターン2:「AI依存しすぎた結果」

試行内容: AIの出力をほぼそのまま採用し、最小限の修正のみ

失敗の理由:

  • 「自分の絵」という実感が持てない
  • AIの癖(指の不自然さ、構図の硬さ)が残る
  • AI任せにしてしまうとクリエイターの創造性や表現力が低下する可能性を実感

学び: 手描きの工程を省略しすぎると、魂が抜ける。手を動かす時間が創造性を育てる


実験を通して得られた”自分の新しい絵柄”とは

3ヶ月間の実験を経て、明確な変化が生まれました。

新しい絵柄の特徴

【ハイブリッド画風の誕生】

  1. 色彩感覚の拡張
    • AIが提案する予想外の配色を取り入れられるように
    • 従来避けていた色の組み合わせに挑戦できた
  2. テクスチャの多様化
    • 厚塗り、水彩、アニメ塗りを状況に応じて使い分け
    • 厚塗りでマットな質感のグアッシュ絵の具風のイラストスタイルなども習得
  3. 構図への新しいアプローチ
    • AIの大胆な構図から学び
    • 人間の感性で調整する視点を獲得

AI由来 vs オリジナル要素の内訳

AI由来(約30%):

  • カラーパレットのヒント
  • テクスチャの質感表現
  • 予想外の構図提案

オリジナル(約70%):

  • 線の引き方、筆圧
  • キャラクターの表情の機微
  • 全体のバランス調整
  • ストーリー性の込め方

結論:既存の画風に閉じない、自分専用のハイブリッド画風が完成しました。


気づき・反省・今後のアップデート案

重要な気づき

1. AIの「曖昧さ」が逆に創造性を生む

AIは時に予想外の提案をします。完璧ではないからこそ、「これを人間の手でどう改善するか」という思考が刺激されます。

2. 手描きが「芯」を作る

人間ならではの洞察力と創造性を磨き、AIと協働することで、より価値のある作品を生み出すことができることを実感しました。

3. 失敗から学ぶ価値

成功例より失敗例から得た学びの方が多かった。クリエイターは自分のアイデアをより深く具現化できるようになりました。

改善したい点

  • プロンプト精度の向上 – より的確に意図を伝える言語化能力
  • ツールの使い分け – 各AIツールの得意分野を見極める
  • 時間配分 – AI生成と手描きのバランス最適化

次に試したい方向性

  1. 動きのあるイラスト – AIを使って静止画をアニメーション化する方法を探索
  2. 3D要素の統合 – 2Dイラストに3D要素を自然に融合
  3. LoRAモデルの学習 – 自分の画風を学習させたカスタムモデル作成

まとめ:AI時代の”絵柄の育て方”

この実験を通じて確信したこと——AIは表現を奪うものではなく、広げるものです。

本質的な学び

「手で描くこと」が中心だった制作は、いま「考え方」そのものの再構築へと進んでいます。しかし、それは手描きの価値を否定するものではありません。

むしろ、AIというツールを得たことで、クリエイターは「何を表現したいか」「どう感動を届けるか」という本質的な部分により集中できるようになったのです。

あなたへのメッセージ

小さな実験から始めてみてください。

  1. まず1枚、自分のイラストをAIに別の画風で解釈させてみる
  2. そこから1つだけ、気に入った要素を見つける
  3. その要素を自分の手で再現してみる

これだけで、新しい扉が開きます。

AIイラストなら、思い描いたイメージを言葉で伝えるだけで、プロ級の作品が生まれ、ブログの挿絵、SNSの投稿画像、オリジナルキャラクターの制作など、活用方法は無限大です。

**完璧を目指さず、楽しみながら実験すること。**それが、AI時代の絵柄の育て方です。


参考リンク・ツール

AI画像生成ツール

学習リソース

クリエイター向け情報

最後のインスピレーション画像

この記事があなたの創作活動の新しいステップになれば幸いです。AIと手描きの融合で、あなただけの画風を見つけてください。


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